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遺言執行者とは?弁護士を選任して、相続争いを予防しよう!

  • 相続問題

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将来の遺産相続トラブルを予防するために、今のうちから遺言書を作成しておこうと考えている方はたくさんおられることでしょう。

ただ、遺言書があっても、その内容がスムーズに実現されるとは限りません。相続人たちの間で「遺言は無効」という争いが発生することもありますし、相続人が名義書換などの手続を進めないこともあります。このような場合、「遺言執行者」を選任しておくと役に立ちます。

以下では、相続対策に効果的な「遺言執行者」について、弁護士法人YMPの弁護士が解説します。

遺言執行者とは

遺言執行者とは、遺言書の内容を適切に実現すべき人のことです。

遺言書が残されていた場合、通常は、遺言によって利益を受ける人や相続人が遺言内容に従って相続手続を進めていきます。たとえば、遺言によって不動産を受け継ぐ相続人や受遺者がいたら、そういった人が不動産の所有権移転登記手続を行いますし、遺言によって預貯金を受け継ぐ相続人がいたら、銀行に遺言書を持参して、払い戻しの手続きを行います。

しかし、相続人間で、遺言書の有効性について争いが発生してしまった場合には、遺言書があっても誰も必要な手続きをしませんし、相続人が忙しくて遺言書に従った相続手続きをしないで放置する場合もあります。

このようなとき、遺言執行者がいると、遺言執行者の権限によって不動産の名義書換や預貯金の払い戻しなどを行うことができるので、適切に遺言書に書かれた内容を実現することができます。

遺言執行者ができること

遺言執行者には、どのような権限が与えられているのでしょうか?

遺言執行者に与えられた権限の内容には、一般的な相続人にもできることと、遺言執行者にしかできないことがあります。以下で、それぞれについて説明します。

一般的な相続人にもできること

遺言によって指定された通りの遺産分割

遺言によって、それぞれの相続人に対する相続分の指定や相続財産の指定が行われていた場合、遺言執行者はその内容に従い、遺産分割を実行することができます。たとえば、長男に不動産を相続させる、と書いてあれば、不動産の名義を長男名義に書き換えることが可能です。

遺贈

相続人ではない人に財産を遺贈する場合にも、遺言執行者が実行することができます。たとえば、孫に預貯金を遺贈すると書かれていたら、遺言執行者が銀行で預金を出金し、孫に渡すことが可能です。

寄付行為

遺言によって、各種の団体などに寄付をすることも可能です。寄付は相続人もできますが、遺言執行者が指定されていたら、遺言執行者が代わって寄付を行います。

遺言執行者にしかできないこと

遺言執行者がいないと実現できない内容は、以下のとおりです。

認知

遺言によって、子どもを認知するケースがあります。たとえば、生前に認知をすると、今の家族に知られてトラブルが予想される場合などです。相続人は、子どもの認知を代理で行うことができないので、遺言によって子どもを認知するためには、必ず遺言執行者を指定しておく必要があります。

相続人の廃除・取消し

推定相続人であっても、著しい非行がある場合には、家庭裁判所に申立をして、相続人としての資格を奪うことができます。このことを、相続人の廃除と言います。また、いったん廃除しても、その後気が変わったら取り消すことも可能です。

遺言書によって、相続人の廃除や取消をすることも可能ですが、相続人が代わりに行うことができないので、これらの手続きを行うためには、遺言執行者を選任しておく必要があります。

遺言執行者になれる人

遺言執行者には、未成年者と破産者以外であれば、基本的にどのような人でもなることができます(民法1009条)。個人に限らず、法人も遺言執行者に就任することができます。実際に、信託銀行などが遺言執行者に就任する例も多いです。

また、相続人や受遺者などの利害関係人が遺言執行者になることも可能です。ただし、こういった遺言によって直接利益を受けるものを遺言執行者にしてしまうと、他の相続人からの反感を買い、相続トラブルが起こってしまうおそれが高くなるので、注意が必要です。

遺言執行者を選任する方法

遺言執行者を選任するには、3つの方法があります。

1つは、遺言によって指定する方法です。遺言書に、遺言執行者となってほしい人の氏名や住所を書いておけば、効果が発生します。

2つ目は、遺言内に、遺言執行者を選任すべき人を指定しておく方法です。生前には、遺言執行者になるべき人を定められないけれども、信頼して人選を任せられる人がいる場合には、この方法を利用します。

3つ目は、家庭裁判所に申立をして選任してもらう方法です。たとえば、遺言によって認知が行われているのに、遺言執行者が指定されていないことがあります。そのような場合、相続人が自分たちで認知をするわけにもいかないので、家庭裁判所に遺言執行者選任の申し立てることにより、適切な遺言執行者を選任してもらうことができます。

遺言執行者を解任する方法

遺言執行者が選任されても、信用できないと感じることがあります。実際に、遺言執行者が職務を怠っているケースもあるでしょう。そのような場合には、遺言執行者を解任することができます。ただ、気に入らないからと言っていつでも解任ができるわけではなく、解任が認められるためには「職務怠慢やその他の正当事由」がある場合のみです(民法1019条)。

たとえば、遺言執行者が、いつまでも相続人に就任通知を送らない場合や、遺産目録を作成しない場合、相続人が要求しても遺産目録を開示しない場合、いつまで経っても必要な相続手続きを実行しない場合などには、解任請求が認められます。

弁護士を遺言執行者に選任するメリット

遺言執行者を選任するときには、弁護士を指定しておくと、いろいろなメリットがあります。

相続人の手間が省ける

弁護士を遺言執行者として選任しておくと、相続人たちが面倒な相続手続をせずに済みます。この場合、不動産の名義書換や預貯金の解約出金、相続人に対する分配などの諸手続は、すべて弁護士が行うからです。相続人が現役世代で忙しく日常生活を送っているときに、相続手続きで煩わせることもありません。

遺言内容が確実に実現される

弁護士を遺言執行者に指定しておくと、遺言内容が確実に実現されることも大きなメリットと言えます。たとえば、遺言によって寄付行為をすると定めていても、相続人が面倒がって寄付をしてくれなければ実現されることがありません。子どもの認知や相続人の廃除をしようと思って相続人を遺言執行者に指定していても、相続人は、その方法がわからないこともあります。

弁護士に遺言執行者への就任を依頼していたら、寄付行為であっても当然すぐに行いますし、法的知識が豊富なので、認知や相続人廃除の申立などもスムーズに行うことができます。

遺言書の隠匿、毀損を防げる

自宅で自筆証書遺言を作成して相続人を遺言執行者にしておくと、他の相続人が遺言書を発見して、隠したり捨てたりするおそれがあります。

弁護士に遺言執行者への就任を依頼していたら、遺言書を弁護士に預けることもできますし、弁護士のサポートによって公正証書遺言を作成していたら、遺言書の隠匿や毀損は不可能となります。

弁護士が遺言執行者になっていると、遺言書の隠匿や毀損、変造などのトラブルも防ぐことができます。

相続トラブルも防止しやすい

相続人のうち誰から遺言執行者に就任していると、どうしても他の相続人が不信感を持って、相続トラブルが起こりやすいものです。

公正な第三者としての弁護士が遺言執行者になっていると、自分にとって不利な内容となっている相続人も、遺言書を受け入れやすいのでトラブルにつながりにくくなります。

以上のように、遺言を作成するときには、弁護士を遺言執行者にしておくと、さまざまなメリットがあります。弁護士法人YMPでは、遺言書作成のサポートに非常に力を入れています。これから遺言書を作成しようと考えておられるなら、是非とも一度、ご相談下さい。