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相続手続きの流れと期限を、弁護士がわかりやすく解説!スムーズに終わらせるポイントは?

  • 相続問題

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身内やご家族の方が亡くなり、相続人になったときには、まずは何から手をつけて良いかわからないと感じる方が多いです。それでも、死亡届を出したり葬儀や法要を行ったり、香典返しを行ったり健康保険や年金等の諸届を行ったりしているうちに、どんどん日にちが過ぎていきます。

遺言所も探さないといけませんし、遺産が残されていたら、遺産分割もしなければなりません。相続人同士がトラブルになることもあります。このように、複雑でいろいろなことがもりだくさんな相続手続き、スムーズに進めて行くにはどうしたら良いのでしょうか?

今回は、相続手続きの流れと期限、スムーズに終わらせるためのポイントを、遺産相続に強い弁護士法人YMPの弁護士が解説します。

相続手続きの流れを確認しよう!

遺産相続が起こったら、まずは何から始めてどのように進めていくのでしょうか?まずは、手続きの流れをざっと確認しましょう。

  • 死亡届の提出
  • 葬儀
  • 健康保険等の諸届
  • 遺言書を探す
  • 遺言書の検認
  • 遺言の有効性を確認する
  • 相続人調査
  • 相続財産調査
  • 相続放棄または限定承認を検討
  • 準確定申告
  • 遺産分割協議
  • 遺産分割結果に従った相続手続き
  • 相続税の申告と納税
  • 遺留分減殺請求

とてもたくさんあって「自分にできるかな?」と不安に思われた方もいらっしゃるかもしれません。でも、今回の説明をお読みいただいたら、大丈夫です。以下で、個別に解説をしますので、一緒に順番に確認していきましょう。

死亡直後の手続き

まずは、死亡直後の手続きが必要です。具体的には、死亡届の提出と火葬証明書の受取り、葬儀です。

死亡診断書をもらう

人が亡くなったら、医師に死亡診断書または死体検案書を作成してもらう必要があります。それまで継続的に治療を受けていたなら死亡診断書となりますし、そうでない場合(突然死などのケース)では死体検案書となります。これらの書類は、死亡届と一体になっています。

火葬を行う

死亡診断書を受けとったら、死亡届に必要事項を記入して、市町村役場に提出します。すると、火葬証明書を交付してもらえるので、火葬を行うことができます。火葬証明書がないと葬儀もできないので、死亡届は早急に提出する必要があります。

保険や年金の手続きをする

葬儀と火葬を終えたら、健康保険や年金などの諸手続を早めに行いましょう。健康保険からは葬祭料や埋葬費、年金からは遺族年金が支給されるケースもあります。

遺言書を探す

葬儀や法要の関係が落ち着いたら、遺言書を探しましょう。遺言書があるかどうかによって、その後の相続手続きが大きく変わってくるためです。遺言書が自筆証書遺言や秘密証書遺言の場合、亡くなった方のご自宅に保管されていることが多いです。たとえば、ご本人が生前に使っていた机の引き出しの中やたんすの引き出し、棚の中、金庫の中などを探してみましょう。ご本人が事業をしていた場合には、事業所の事務所内に保管されていることもあります。

遺言書が公正証書遺言の場合には、公証役場で遺言書の検索サービスを利用できるので、これを使って調べてみましょう。公証役場に行き、相続人であることを説明してその証明資料を提出したら、検索をすることができます。具体的には、死亡診断書の写しと戸籍謄本、印鑑登録証明書と実印が必要なので、公証役場に持参して申請をしましょう。

遺言書がある場合

遺言書が見つかった場合には、以下の手順で手続を進めます。

遺言書の検認

見つかった遺言書が自筆証書遺言か秘密証書遺言だった場合には、遺言書の検認をする必要があります。検認とは、家庭裁判所において、遺言書の存在や内容を確認してもらう手続きです。遺言書が発見されたら、そのときの状態を確認することによって、その後の変造や隠匿を避けるために検認が必要とされます。封入されている遺言書の場合、検認を受けずに勝手に開封したら罰則も適用されますし(5万円以下の科料)、検認を受けていない遺言書によっては、不動産の名義変更などの相続手続きを行うことができません。

そこで、遺言書を発見したら、必ず被相続人が居住していた地域を管轄する家庭裁判所において、遺言書検認の申立を行い、遺言書に検認済証明書をつけてもらう必要があります。

公正証書遺言の場合には、公証役場に原本が保管されていて、変造や隠匿のおそれがないため、検認の手続きは不要です。

遺言の効果を確定する

自筆証書遺言や公正証書遺言が発見されたとき、その真正や効果について争いが発生することが非常に多いです。遺言書の内容が自分にとって不利になっている相続人が、「遺言書は他の相続人が偽造したものだ」「受遺者が無理矢理書かせた」「受遺者が書き加えた、書き換えた」などと主張して、遺言書が無効であると言い出すためです。

こうした争いが起こると、遺言書の効力を確定する手続きが必要となります。当事者同士が話し合っても解決できないので、遺言無効確認調停や遺言無効確認訴訟等の裁判所の手続きを利用しなければなりません。

調停で両者ともに、遺言が有効であることに同意した場合や、判決で遺言が有効と判断されたら、遺言書の内容は有効なものとして取り扱われます。無効と判断されたら、遺言書は効果を持たないので、次の5の「遺言書がない場合」と同じ手続きの流れになっていきます。

遺言書に従った相続手続き

遺言書の検認が終わったら、遺言書の内容に従って遺産相続の手続きを進めていきます。具体的には、不動産の名義変更をしたり、預貯金の解約払い戻しを受けたり、株式の名義変更をしたり、骨董品や宝石などの動産を受遺者が引き取ったりします。

その後、相続税の支払いを行います。遺言内容によっては、遺留分減殺請求が行われることもあります。相続税と遺留分減殺請求については、次の遺言がないケースの後の項目において、まとめて解説をします。

遺言書がある場合の相続手続きは、遺言の発見と有効性が焦点

遺言書がある場合には、まずは遺言書を発見しないと話になりません。発見されないと、遺言書がない前提で遺産分割協議が進んでしまうからです。また、遺言書が発見された場合、その効力が争われることが非常に多いので、遺言の有効性も大きな問題となります。

まずはしっかりと遺言書を探して、遺言書が見つかったら、感情的にならずに冷静になり、内容を見て、故人の意思を尊重しながら、お互いに協力して相続手続きを進めていきましょう。

もし、遺言書の効果を巡って熾烈な争いが発生し、訴訟などになってしまったときには、法的なサポートが必要なので、弁護士に相談してみてください。

遺言書がない場合

次に、遺言書がない場合の相続手続きを、順番に確認していきましょう。

相続人調査

遺言書がない場合には、相続人が集まって遺産分割協議を行う必要があります。そのためには、まずはどのような相続人がいるのか、確定しなければなりません。そこで相続人調査を行います。

相続人調査をするときには、亡くなった方(被相続人と言います)の、生まれてから死亡するまでの、全ての戸籍謄本や除籍謄本、改正原戸籍謄本を集める必要があります。これらを見ていくと、亡くなった方の前妻(前夫)との子供や認知した子どもなど、新たな相続人が発見されることがあるからです。

相続人が確定できたら、相続人や被相続人の関係を明らかにした相続関係図を作成しておくと、わかりやすくて便利です。

相続財産調査

遺産分割協議の前提として、相続財産調査も重要です。どのような遺産があるのかが明らかにならないと、遺産分割の話をすることもできないからです。遺産分割協議を終えた後に新たな遺産が見つかったら、再度話合いのやり直しになってしまうので、事前に漏れがないようにしっかり調べておきましょう。

方法としては、被相続人の自宅内の金庫やタンスの中、机の引き出しの中、戸棚の中、各種の収納の中などに、預貯金通帳や契約書、証書などが保管されていないか、確認します。不動産を調べたい場合には、市町村役場に行って、名寄せ帳(固定資産税課税台帳)を開示してもらったら、被相続人がその市町村内に所有している不動産を一挙に確認することができるので、便利です。

また、借金がないかどうかも調べる必要があります。借金があるなら、早めに相続放棄か限定承認をしなければならないからです。被相続人宅に届いている郵便物などをチェックして、貸金業者や銀行等から督促状が届いていないか、きちんと確認しておきましょう。

相続放棄または限定承認を検討

遺産の中に借金が含まれているとき、放っておくと借金を相続することになってしまいます。相続したくなければ、家庭裁判所で相続放棄か限定承認の申述をしなければなりません。相続放棄と限定承認は、利用できる場合や方法、効果がまったく違います。そこで、ケースに応じて適切な方法を選択する必要があります。

また、これらの申述ができるのは、基本的に相続開始を知ってから3ヶ月以内です。この期間を熟慮期間と言いますが、熟慮期間を超えると借金を相続せざるを得なくなる可能性があるので、借金があるなら、早めに裁判所で手続きをしなければなりません。

準確定申告

被相続人が事業を営んでいた場合など、所得税の確定申告が必要だったというケースがあります。この場合、本来なら被相続人自身が確定申告をしなければならないのですが、年度途中で死亡したら、被相続人自身が手続きをすることができません。そこで、相続人が代わりに確定申告をしなければなりません。このことを、準確定申告と言います。

準確定申告は、相続開始後4ヶ月以内にしなければならないとされています。そこで、被相続人が事業を営んでいた場合や高額な給与所得者(年収2000万円超)であった場合、不動産収入等の給与所得以外の収入があった場合などには、早めに被相続人の事業に関する帳簿等を集めて収支を明らかにし、管轄の税務署にて、準確定申告を行いましょう。

遺産分割協議

相続人と争続財産が確定したら、遺産分割協議を行います。遺産分割協議には、相続人が全員参加しなければなりません。1人でも欠けていたら、遺産分割協議が無効になるので、注意が必要です。また、遺言書が無効になった場合や、遺言書が有効でも一部の遺産についてしか処分方法が定められておらず、残りの分割すべき遺産がある場合にも、やはり遺産分割協議が必要です。

遺産分割協議を進める際、特に「こういった方法でなければならない」という決まりはありません。全員がどこかに集まっても良いですし、電話やメール、SNSなどを使いながら話し合いをすすめるのも自由です。話合いによって全員が合意することができたら、その内容にて遺産分割協議書を作成します。遺産分割協議書には、相続人全員が署名押印をして、全員分の部数を作成し、各自それぞれ1通ずつ保管すると良いでしょう。実印でなくても有効ですが、確実を期するために実印を用いることをお勧めします。

遺産分割調停

遺産分割協議を行っても、相続人全員が合意できないケースがあります。その場合には、家庭裁判所にて遺産分割調停を行う必要があります。遺産分割調停では、家庭裁判所の調停委員会が当事者の間に入って話を進めてくれるので、自分たちだけで話合いをするよりは、解決がしやすくなります。

調停により、全員が合意することができたら、調停が成立して、裁判所で「調停調書」が作成されます。調停調書には、当事者は署名押印する必要がなく、調停調書を使って不動産の名義変更等の諸手続をすることができます。

遺産分割審判

遺産分割調停を行っても当事者間で合意ができない場合には、遺産分割調停は不成立になって、終了します。その後、何もしなくても、手続きが遺産分割審判に移行します。遺産分割審判では、裁判官が遺産分割の方法を決定してしまいます。

当事者は、自分の希望や有利になるための資料を提出し、なるべく自分の希望に沿った判断をしてもらうために主張や立証をしなければなりません。審判が出ると、裁判所で審判書という書類が作成されて、当事者それぞれに郵送されてきます。これを使って不動産の名義変更等の諸手続を行うことができます。

遺産分割結果に従った相続手続き

遺産分割協議や調停、審判により、遺産分割方法が決定したら、その内容に従って、具体的に遺産相続の手続きを進めて行く必要があります。たとえば不動産を相続したら名義変更が必要ですし、預貯金を相続したら解約払い戻しや名義変更が必要です。株式を相続したときも名義変更をしますし、貴金属等の動産を相続するなら自宅に引き取ります。名義変更をするときには、「遺言書」「遺産分割協議書」「遺産分割調停」「審判書」のいずれかが必要です(なお、遺産分割前に共有登記をする場合、金融機関で自分の法定相続分のみ出金する場合などにはこれらの書類は不要です)。これらの資料をもって、段取りよく相続手続を進めていきましょう。

遺言書がない場合の相続手続きのハイライトは、「遺産分割」

遺言書がない場合には、検討すべき項目や面倒な手続も多くなります。そんな中でも特に重要なのは、「遺産分割」の手続きです。遺産分割は、当事者間で話し合ってもトラブルになって解決できないことが非常に多いです。「遺産相続トラブル」などというと、一部のお金持ちの話だと思っている方も多いのですが、家庭裁判所で遺産分割調停が起こる多くのケース(7割以上)では、遺産の総額が5000万円以下です。

遺産分割トラブルは、どのような人にも起こりうるものです。将来の遺産分割トラブルを避けるためには、生前からの争続対策が重要ですし、遺産分割に臨む相続人の理解とその姿勢が大切です。お互いの法的な権利を認め合い、自分の権利と相手の立場の両方を尊重しながら、上手に遺産分割協議を進めていきましょう。

相続税の申告と納税

ここからは、遺言書がある場合とない場合に共通の手続きです。

遺言によって相続を進めるときも、遺産分割によって相続を進めるときにも、遺産相続をしたら、相続税がかかるケースがあります。平成27年から相続税の基礎控除が下げられたので、以前よりも多くのケースで相続税が課税されるようになっています。

相続税が課税される場合には、管轄の税務署で、相続税の申告と納税の手続きを行う必要があります。相続税の申告と納税の期限は、相続開始後10ヶ月以内です。遅れると、税務署から督促が来たり、相続財産や相続人固有の財産を差し押さえられたりするおそれがあるので、早めに相続税の計算をして、申告と納税を済ませましょう。

遺留分減殺請求

遺言や贈与が行われると、本来法定相続人として遺産を取得できるはずの人でも、遺産を相続できなくなってしまうことがあります。その場合には、遺留分減殺請求をして、遺産を取り戻すことができます。遺留分減殺請求の期限は、遺留分侵害の事実を知ったときから1年なので、できるだけ早めに請求通知を送りましょう。

遺留分減殺請求通知を送ると、侵害者との間で遺留分の返還方法について、話合いを行うことになります。話合いでは合意ができない場合には、遺留分減殺調停や遺留分減殺訴訟など、裁判所の手続きを利用して問題を解決しなければなりません。遺留分減殺請求を行うとき、請求者も侵害者も感情的になりやすく、合意が難しくなることが多いので注意が必要です。相手によっては難しいこともありますが、なるべく感情的にならずにビジネスライクに交渉を進めましょう。どうしてももめて困ってしまうなら、弁護士に代理を依頼することも可能です。

期限のある相続手続き

相続手続きには、期限があるものがたくさんあるので、注意が必要です。以下で、期限がある相続手続きをまとめました。

相続放棄、限定承認

相続放棄の申述を限定承認の申述は「自分のために相続があったこと」を知ってから3ヶ月以内に手続きをする必要があります。

「自分のために相続があったこと」というのは、基本的には被相続人が死亡したことです。ただ、先順位の人が相続放棄したことで自分が相続人になったのであれば、先順位者の相続放棄を意味します。また、被相続人の死亡を知っていても、遺産が存在しないと信じていて、そう信じることに過失がない場合には、この3ヶ月の熟慮期間は経過しないと考えられています。

そこで、被相続人が死亡したと知っていても、きちんと相続財産調査をした上で、遺産が全くないと信じていた場合には、3ヶ月が経過しても相続放棄や限定承認ができます。期限を過ぎたと思っていても、実は相続放棄できるケースなどもあるので、迷われたときには、お早めに弁護士にご相談ください。

準確定申告

準確定申告の期限は、相続開始後4ヶ月以内です。相続の事実を知らなくても、この期間は経過します。早めに手続きをしましょう。通常の確定申告の時期(翌年の2月~3月)とは異なるので、注意しましょう。

遺留分減殺請求

遺留分減殺請求の期限は「遺留分を侵害する贈与または遺贈を知ってから1年」です。「遺留分を侵害する贈与や遺贈」というのは、遺言書や死因贈与、生前贈与の事実と内容を知ったことを意味します。

そこで、確実に1年以内に相手に通知を送る必要があります。そのため、通常は内容証明郵便を使って、相手に対し遺留分減殺請求の通知書を送ります。

また、遺留分侵害の基礎となる遺贈や贈与のことを知らなくても、相続開始後10年が経過したら、当然に遺留分減殺請求権がなくなってしまいます。

相続税の申告と納税

相続税の申告と納税にも期限があります。申告と納税の期限は、相続後10ヶ月です。申告だけではなく、納税まで10ヶ月以内に済ませないといけないので、遺産相続の際には、相続税の納税資金の用意も整えておく必要があります。

また、相続税についても、準確定申告と同様、相続が開始したことを知らなくても10ヶ月の期間が経過します。支払をしないと税務署から督促が来たり、差押えをされたりしますし、延滞税もかかるので、必ず期限内に支払いを終えましょう。

遺産分割協議が未了のケース

相続税の支払は、相続人が各自の相続分に応じた金額を負担することが普通です。そこで、10ヶ月以内に遺産分割協議が成立したら、その負担に応じて支払うことができますが、10ヶ月以内に遺産分割協議が成立しない場合には、誰がどのくらい相続税を負担すべきかが決まりません。その場合、「相続税の申告と納税の期限を延ばしてもらうことはできないのか?」と考える方がおられます。

残念ながら、それはできません。遺産分割協議が終わっていないとか、遺産分割調停継続中などであっても、相続後10ヶ月以内に必ず相続税の申告納税が必要です。

そこで、多くの場合、とりあえず法定相続分に応じて相続分を支払います。そしてその後、遺産分割が成立したときに、修正申告や更正請求を行います。

当初に支払った相続税が足りない場合には修正申告として不足分を支払い、当初に支払って相続税が多すぎた場合には、更正請求をして超過分を還付してもらうことになります。

相続税の軽減措置

軽減措置の適用は、期限内の納税が条件

相続税には、軽減措置が設けられていますが、そうしたものの適用を受けるためにも期限があります。具体的には、配偶者控除と小規模宅地の特例が問題となります。これらの特例を受けるためには、基本的に相続税申告期限(10ヶ月)までに遺産分割を終えた状態で相続税の申告と納税をすることが必要です。

3年以内なら、軽減措置が適用される

しかし、遺産分割が未了のケースもあります。そのときには、相続税の申告時において「申告期限後3年以内の分割見込み書」という書類を添えて提出します。そして、実際に3年以内に遺産分割を成立させたら、遺産分割協議書や調停調書等の書類を添えて更正請求をすることにより、超過支払分の還付を受けることができます。この場合、遺産分割が成立したときから4ヶ月以内に更正請求をしなければなりません。

3年を超える場合の特別措置

相続税の申告納税期限後3年以内に遺産分割を成立させられない場合には、3年の期限が経過してから2ヶ月以内に「遺産が未分割であることについてやむを得ない事由がある旨の承認申請書」という書類を税務署に提出し、承認を受けます。すると、その後に遺産分割が成立してから4ヶ月以内に更正請求をすることにより、超過支払分の還付を受けることができます。

相続手続きの期限に注意!

以上のように、相続手続きには期限があるものがたくさんありますし、それぞれの期限の考え方は全く違います。期限を過ぎると手続ができなくなるので、相続手続きを進めるときには、常に期限を意識しながら、過ぎてしまわないように注意しておきましょう。

相続手続きをスムーズに進めるコツ

相続手続きは、非常にやることがたくさんあって揉め事も起こりやすいので、とにかくスムーズに進める工夫が必要です。以下で、そのコツをご紹介します。

事前に遺言を作成しておく

まずは、遺産分割のトラブル予防が最重要です。そのためには、遺言書を作成しましょう。有効な遺言書があると遺産分割協議が不要になるので、それだけでずいぶん相続トラブルのリスクを下げることができます。

ただ、遺言の方式にも注意が必要です。自筆証書遺言にしてしまうと、相続人が「遺言は偽物」と言い出して、遺言無効確認訴訟などが起こり、かえってトラブルの種になってしまうことがありますし、内容不備で無効になる可能性もあります。そこで、遺言は確実性の高い公正証書の形で作成するようにしましょう。

さらに、遺言の内容にも注意が必要です。遺言によって法定相続人の遺留分を侵害してしまったら、遺留分減殺請求をされるので、やはりかえってトラブル原因になるからです。遺言によって効果的に相続トラブルを予防したいのであれば、被相続人の生前に、公正証書の形で遺留分にも配慮した内容の遺言書を残しておくことが有効です。

法律上の権利は受け入れる

次に、相続人サイドの心構えです。相続人同士は兄弟姉妹などであることも多く、どうしても感情的になってしまいがちです。特に、特定の相続人に寄与分が認められたり自分に特別受益があると言われたりすると、その事実を受け入れがたくなってしまいやすいです。

また、認知された子どもや前妻の子どもが現れたら、その人にも自分と同じだけの遺産を渡さないといけないのですが、そういったことも心情的に受け入れにくいことがあります。

さらに、遺言書によって特定の相続人に多くの遺産が残されていた事案や、愛人などの第三者に遺贈が行われていた事案では、財産を受け取れなかった相続人が不満を持ち、何とか権利を奪いたいと考えることが多いです。

しかし、こういった相手の法律上の権利を認めずに争っても、無駄に争いが長引くだけで、意味がありません。裁判を起こしても、相手に権利がある以上はその方向に従った解決にしかならないのです。そこで、感情的に受け入れにくいとしても、相手に法律上の権利があることは受け入れましょう。このことによっても、ずいぶんと無駄なトラブルを防止することができます。

相手の立場や気持ちを考える

遺産分割協議や遺留分減殺請求をしたりされたりする場合、どうしても自分の立場ばかりを考えてしまいがちです。「私はあんなに苦労した」「お父さんのために尽くしてきた」「今まで、父親になにもしてもらっていなかった」などと考えて、とにかく自分の遺産取得分を多くしようとします。

しかし、お互いがこのような姿勢では、なかなか話がまとまらないのも当然です。スムーズに相続手続きを進めるためには、相手の立場や気持ちを考えることも必要です。

「確かに、私は父と同居してきたから、楽をしていたところはあるかもしれない」「兄は、いままで親と同居していたから、好きなことができなかったこともあっただろう」「前妻の子どもは今まで父親に何一つしてもらったことがないから、自分は恵まれていたかもしれない」などと、少し視点を変えてみましょう。もちろん、自分の権利を放棄して譲ってしまう必要はないのですが、少し相手の立場を思いやるだけで、ずいぶんと遺産相続トラブルは減るはずです。

弁護士に対応を相談する

遺産相続トラブルを避けるのに非常に効果的な方法は、弁護士に対応を相談してアドバイスを受けることです。

まずは、生前の段階から相談をしましょう。生前であれば、いろいろと対策がとれるものです。遺言書の作成だけではなく、任意後見契約や成年後見制度を利用して、適切な財産管理の方法を決定することも可能です。このことにより、財産内容が明確になって、死後の無駄な相続争いを防止出来ます。

また、死後に遺産分割協議を行うときにも、やはり弁護士の助けが重要です。弁護士に相談をすると、自分にどれくらいの権利があって、相手の言っていることが正しいのかどうかがわかるので、自分としても無茶な主張をしなくなりますし、相手の言い分が間違っていたら、それを正すことができるからです。

借金を相続したときの対応方法や父親が賃貸物件を借りていたときの対応方法など、個別具体的ないろいろな悩みにも、弁護士からアドバイスをもらうことが解決することができます。

弁護士に相談すると、無用なトラブルを予防し、早期に解決することが可能となります。

当事務所の相続手続きへの対応

当事務所、弁護士法人YMPは、遺産相続問題に専門的に取り組む弁護士事務所です。今までの豊富な解決実績と、深い法的知識、交渉テクニックによって効果的に事件を解決に導きます。どのような状況の方であっても、ケースに応じて適切なアドバイスをさせていただきますので、ご相談を終えられるときには、多くの方に安心してお帰り頂いています。

また、相続問題を抱えておられる方は、長期にわたる争いや、親族間での揉め事に、心底疲れておられる方が多いです。当事務所では、そうした方の気持ちに配慮して、常に親身な対応を心がけております。お困りの際には、是非ともご相談下さい。

相続手続きで疑問があるなら弁護士に相談を!

今回は、相続手続きの流れと、スムーズに解決するための方法について、解説しました。

遺産相続の際には、非常に多くのなすべき手続きがあり、期限があるものも多いです。順序立てて段取りよく進めていかないと、後で思わぬ不利益を受ける可能性もあります。

遺産相続手続きをスムーズに進めるためには、生前からの対策が重要です。遺産相続問題で、何らかの疑問や不安を抱えている方、今のうちから対策を練っておきたいとお考えの方、トラブルの渦中にいてお悩みの方は、一度弁護士に相談してみて下さい。