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民事調停による債権回収!メリットとデメリットを徹底解説!

  • 債権回収

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債権回収にはいろいろな方法がありますが、民事調停は上手に使うと穏便にトラブルを解決できるので、効果的な手法です。ただ、強制力がないため、最終的に解決ができないケースも多く、使い方を誤ると、時間や労力が無駄になってしまいます。

今回は、民事調停による債権回収方法について、弁護士法人YMPの弁護士が解説します。

民事調停とは

民事調停とは、簡易裁判所の調停委員会に間に入ってもらうことにより、法的なトラブルを解決する方法です。調停委員会とは、2人の調停委員と担当の調停官(裁判官)からなる機関です。

調停の対象になるのは、広く民事事件一般です。たとえば、近隣トラブル、家賃の不払い、不法占拠、各種の損害賠償請求、慰謝料請求など、ほとんどどのようなことでも話し合うことができます。もちろん、未払債権の回収についての話合いも可能です。貸金請求、未払賃料請求、売掛金請求、未払賃金請求など、どのような請求もできます。

調停をすると、2人の調停委員を介して、トラブルの相手と話をすることとなります。裁判所の仲介によって話合いが成立すると、調停が成立して、その内容に従って相手から支払いを受けることができます。調停で話合いをしても解決ができない場合には、調停は不成立となり、解決はできません。

民事調停のメリット

民事調停には、以下のようなメリットがあります。

穏便に解決できる

まずは、トラブルを穏便に解決できることがメリットです。

訴訟をすると、相手と真っ向から争うことになります。お互いに言い合いとなり、相手を貶め合うことも多いです。訴訟が終わる頃には、お互いに対する憎しみが募り、関係が破壊されてしまうことが普通です。取引先に売掛金請求をするときなどに訴訟をすると、その後の取引はできなくなってしまうことが多いでしょう。

これに対し、調停の場合には、調停委員が間に入って穏便な話合いの方法で手続きが進んでいきます。たとえ調停が不成立になっても、さほど相手に対する悪感情が高まりにくいです。相手との関係を壊したくない場合には、民事調停が向いていると言えるでしょう。

手続きが簡単

民事調停の手続は、裁判所を使った手続きの中ではかなり簡単です。厳密な証拠などは一切不要ですし、主張内容が法的に整理されていなくても、相手が納得しさえすれば解決することができます。書面よりも口頭での話合いで進んで行く手続ですから、弁護士のサポートを借りずに自分一人で進めていくことも、十分可能です。

柔軟な解決ができる

民事調停を利用すると、かなり柔軟な解決が可能となります。たとえば、100万円を請求するとき、訴訟をすれば0か100しかないケースも多いですが、民事調停なら、80万円を払ってもらうとか、50万円払ってもらうことにより、確実に回収することも可能となります。また、相手に支払い能力が足りない場合には、分割払いの約束をすることも可能です。

費用が安い

民事調停は、比較的費用が安いこともメリットの1つです。印紙代は訴訟の半額ですし、弁護士に依頼しなければ弁護士費用もかかりません。民事調停を自分で申し立てて解決できたら、手続きにかける費用は1万円~数万円程度で済むことも多いです。特に、少額の債権回収はかるときには大きな威力を発揮するでしょう。

調停調書に強制執行力がある

調停は、穏便な話合いの手続きではありますが、調停によって作成される「調停調書」には強力な効果があります。調停調書には、強制執行力があるためです。調停後、相手が約束通りの支払をしない場合には、相手の資産や債権を差し押さえて確実に債権回収することができます。

時効を中断できる

債権には時効があるので、時効が完成すると、基本的にそれ以上請求することができなくなってしまいます。調停をすると、時効を中断することができることも大きなメリットです。

民事調停のデメリット

ただし、民事調停にはいろいろなデメリットもあるので、注意が必要です。

強制力がない

民事調停は、あくまで話合いの手続きですから、相手が合意しない限り、解決することができません。相手が明らかに不当なことを言っていても、相手が自分から支払う気持ちにならない限り、無理矢理支払わせることはできないのです。この点で、調停には解決力に欠ける点があることを否定することができません。

無視される可能性がある

民事調停をしても、相手に無視される可能性があります。確かに、調停には応じる義務がありますが、調停を無視したとして5万円以下の過料の制裁があるだけで、無理矢理調停に出席させることはできないのです。相手が調停に来ない場合には、調停で解決することはできません。

時間と労力が無駄になるおそれがある

民事調停をしていろいろと話合いをしても、結局は解決できないことがあります。そのような場合、調停は不成立となって終わってしまうだけなので、民事調停にかけた費用も労力もすべて無駄になってしまいます。

時効が確定的に中断しない

民事調停をするとき、時効との関係で注意しなければならない点があります。それは、調停をしても、時効が確定的に中断しないことです。調停を申し立てて、そのまま成立したら良いのですが、不成立になったときの問題です。調停不成立時にすでに時効期間が過ぎている場合には、不成立後1ヶ月以内に訴訟を提起しないと、時効が完成してしまうのです。

また、調停を取り下げると調停はなかったことになってしまいますから、やはり時効は中断しません。「調停を申立から、時効は中断したはず」と思っていると、権利が失われてしまうことがあるので、正確に理解しておきましょう。

民事調停の利用方法

民事調停をしたいときには、以下のような手順で進めましょう。

調停申立書を作成する

まずは、調停申立書を作成しましょう。どのような解決を求めるのか(結論)、どうしてそのような結論を求めるのか(理由)、関連する事情などをわかりやすく書いておくと良いでしょう。自分で申し立てるときには、裁判所に用意してあるひな形を使うと良いでしょう。
http://www.courts.go.jp/saiban/syosiki_minzityoutei/

簡易裁判所に提出する

調停申立書ができたら、印紙とともに簡易裁判所に提出します。提出先の簡易裁判所は、基本的に相手の住所地を管轄する簡易裁判所です。調停申立書を提出すると、裁判所から第1回調停期日の呼出状が届きます。この頃、相手にも同じように呼出状が送られています。

第1回調停期日

第1回調停期日に呼び出された時間に簡易裁判所に行くと、通常は相手も来ています。そこで、調停委員を介して相手と話合いをします。相手と直接対面で話をすることはありません。

相手が期日に来ていない場合には、話合いをすることはできません。

第2回調停期日以降

1回では話合いが成立しなかった場合には、第2回調停期日を入れて、話し合いを継続します。こうして、何度も話合いを継続していきます。調停期日は、だいたい月に1回程度、
開かれます。

調停成立

調停でお互いが合意できたら、調停が成立します。すると、裁判所で「調停調書」が作成されて、その内容に従って相手から支払いを受けることができます。合意ができなかった場合には、調停は不成立になって終了します。

民事調停を検討しているなら、まずは一度ご相談ください

民事調停は、上手に使うと穏便に債権回収できるのでメリットが大きいですが、効果がないケースも多いです。債権回収を成功させるには、いろいろな解決方法があることを知り、それぞれの特徴を把握した上で、最適な方法を選択する必要があります。そのためには、法律の専門家である弁護士によるアドバイスを受けることが有用です。

民事調停など、債権回収を検討されているなら、是非とも一度、弁護士法人YMPまでご相談ください。