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パワハラえん罪とは?予防策と起こってしまったときの対処方法

  • 労働問題

公開日:

企業を安全に運営していくためには、労使問題対策をとっておくことが必要です。

社内で「パワハラ」が起こると、従業員の士気も低下しますし、会社が適切な措置をとっていなかったということで、会社の責任を問われることもあり得ます。最近では、上司と部下がSNSなどでやり取りをしているだけで「パワハラ」と言われてしまうことなどもあるので、注意が必要です。

今回は、上司が思ってもみないことで「パワハラ」と言われてしまう「パワハラえん罪」の問題と対処方法について、弁護士法人YMPの弁護士が解説します。

パワハラえん罪とは

「パワハラえん罪」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?

これは、上司や経営者が特段の意図を持たずにとった行動について、従業員が「パワハラ」と受け止めてトラブルになることです。とくに最近では、LINEやフェイスブックなどのSNS上で普通にやり取りをしていることを「パワハラ」と捉えられてしまうことが多いです。

このような場合、上司や経営者の方はまったく意図していないに、突然「パワハラ」と言われてしまうので非常に困惑します。しかし、えん罪とは言え、いったんパワハラえん罪のトラブルが起こると、労働基準監督署に通報されてしまったり、従業員が依頼した弁護士から内容証明郵便が届いたり、労災申請をされたりしてさまざまなトラブルにつながってしまいます。

そこで、企業としても、パワハラえん罪にならないように対策を練っておかねばなりません。

そもそもパワハラとは

パワハラえん罪を避けるには、そもそも、パワハラとは、どのようなことなのか、正確に知っておく必要があります。

パワハラの定義

パワハラは、「パワーハラスメント」の略で、「力を使った嫌がらせ」という意味です。職場以外(家庭など)で行われることもありますが、職場でのパワハラが問題になるパターンが圧倒的に多いです。

優位性について

職場でのパワハラは、職務上の地位や人間関係などの「優位性」を背景にして、業務上の適正な範囲を逸脱して相手に精神的・身体的苦痛を与えたり、職場の環境を悪化させたりする行為です。

職場での優位性を背景にしている必要があるので、上司から部下への行為がパワハラになることが多いです。経営者が従業員に行う行為もパワハラです。ただ、それに限らず、先輩や後輩にパワハラを行うこともありますし、場合によっては同僚同士や、部下から上司に対するパワハラもあり得ます。

「優位性」には、職務上の地位に限らず、人間関係などの優位性も含まれるからです。

適正な範囲を逸脱していること

パワハラが成立するには、業務の適正な範囲を逸脱していることも必要です。部下が不満を感じたとしても、それが業務上必要な指示事項や注意、教育的な指導であれば、パワハラにはなりません。ただ、腹いせに過大な業務を与えたり、嫌がらせで仕事をさせなかったり、必要以上に厳しく叱責したりするとパワハラとなります。

パワハラの6パターン

厚生労働省は、パワハラ行為を以下の6つのパターンに分類しています。

①身体的な暴行や傷害

たとえば、上司が部下の胸ぐらをつかんだり殴ったり、怒鳴りつけたりした場合です。

② 精神的な脅迫や暴言、名誉毀損や侮辱

たとえば、相手に対し「お前はどうしようもない出来損ないだ」などと言ったり、「バカ野郎!」「会社のお荷物。早く辞めてしまえ」などと言ったりすると、パワハラになる可能性があります。

③ 人間関係からの切り離し(仲間はずれ、無視)

たとえば、同僚のグループに1人だけ入れなかったり、グループで業務を進めるときに、1人だけ業務内容を伝えなかったり、一切話しかけなかったりして「いじめ行為」をすると、パワハラと評価される可能性があります。

④ 明らかに不要な業務や過大な業務を強制する、仕事を妨害する。

部下に対し、できるはずがない過大な業務をおしつけたり多くの仕事をさせたり、不要な作業をさせたりする嫌がらせをすると、パワハラとなります。

⑤ 過小な業務をさせること。相手の能力や経験に応じていない、レベルの低い仕事をさせる、仕事を与えない。

たとえば、相手はそれなりに能力がある人手あるにもかかわらず、延々とコピーを取らせたり資料の整理だけをさせたりすることがパワハラになるケースがあります。

⑥ 個の侵害。プライベートに過剰に立ち入ること

私生活上の事実を根掘り葉掘り聞いたりすると、パワハラとなります。

SNSやLINEでパワハラえん罪が起こるパターン

以上を前提に、実際にSNSやLINEの利用で「パワハラえん罪」が起こるのは、どのようなケースなのか見てみましょう。

たとえば、プライベートな時間にメッセージを送ったり、家族の事情について聞いたりしていると、上司にはその気が無くても⑥の個の侵害行為として、パワハラになる可能性があります。また、ネット上のメッセージで、ついつい強く言いすぎたら、②の精神的な攻撃と受け止められて、パワハラと言われることもあります。

さらに、LINEなどのグループを作っていて、ある人を誘っていなかったときに③の「人間関係からの切り離し」としてパワハラが成立してしまう可能性もあります。業務時間外にSNSなどでメッセージのやり取りをしただけで、④の「不要な業務を強制している」と評価される可能性もあります。

このように、上司や経営者の側からすると、部下との人間関係作りに役立つと考えてやり取りしていても、それが「パワハラ」と言われてしまうケースは頻繁にあるので、注意が必要です。

パワハラえん罪を避ける方法

パワハラえん罪を避けるには、どのような対処方法をとればよいのでしょうか?

まずは、仕事でSNSやLINEを利用しないことです。たとえば、LINEが便利なので、上司と部下の業務上のやり取りにLINEを利用することがありますが、そうすると、業務時間外との区別がなくなって、退社後や休日などにも気軽にメッセージを送ってしまうことがあります。すると、パワハラと言われるおそれがあります。

また、会社の同僚同士や上司部下で個人的にLINEやSNSのやり取りをするときには、メッセージの内容に配慮をしましょう。文字だとどうしてもきつく見えてしまうので、相手がどのように受け止めるか配慮しながら文字に起こすべきです。業務とプライベートの利用をはっきり分けることも重要です。

また、特定の人を廃除していると受け止められるようなグループ作りは控えましょう。

パワハラと言われた場合の対処方法

それでも、どうしてもパワハラと言われてしまうことはあります。近年では、労働者の権利意識も高まっていて、パワハラ過敏になっている人も多いからです。

従業員からパワハラと言われてしまったら、まずは本当にそれがパワハラに該当するのか、見極めが必要です。実際には、従業員が過剰に騒いでいるだけであることも多いので、この時点でトラブルの多くを切り捨てることができます。

本当に対応が必要なときには、従業員と良く話合いをして、必要な対策をとるべきです。被害者と加害者双方をなるべく傷つけないように、会社が間に入ってことを収める工夫が必要です。そのためには、社内に適切な相談機関を設置して、問題があったときの処理マニュアルなども作っておくことが望ましいです。

パワハラ対策は、弁護士法人YMPにお任せ下さい

企業経営を安全に進めていくには、パワハラ対策が重要です。効果的にパワハラを予防するためには、社内マニュアルの整備など、弁護士による法的サポートが役立ちます。実際にトラブルが発生してしまったときにも、弁護士がついていると、スムーズに解決につながります。

弁護士法人YMPは、労使間のトラブル予防やトラブル解決に非常に強く、多くの顧問企業からの信頼を集めています。パワハラ対策を検討されているなら、是非とも一度、ご相談下さい。