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交通事故で遷延性意識障害(植物状態)になったときの対処方法

  • 交通事故

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交通事故に遭うと、さまざまな後遺障害が残る可能性があります。中でも「遷延性意識障害」になると、自分では何一つできなくなり、意味のある発語すら不可能になりますから、大変な影響が及びます。ご本だけではなく、ご家族も、精神的にも身体的にも経済的にも、多大な負担を負うこととなります。

今回は、交通事故で「遷延性意識障害」になったときの対処方法について、弁護士法人YMPの弁護士が解説いたします。

遷延性意識障害とは

遷延性意識障害は「植物状態」

「遷延性意識障害」と言われても、ピンと来ない方が多いかもしれません。これは、いわゆる「植物状態」のことです。自力では動けなくなり、意味のある発語ができなくなり、全面的に介護を要する状態です。

遷延性意識障害の原因は、外傷性のものと内部的なものの2種類があります。内部的な要因とは、たとえば脳出血などの疾患です。外傷性の原因でもっとも多いのが、交通事故です。交通事故で強く頭に衝撃を受けて脳を損傷すると、遷延性意識障害となって、一生植物状態になってしまうことがあります。

遷延性意識障害の診断基準

遷延性意識障害と診断されるのは、以下の6つの状態が6ヶ月以上継続しているケースです。

  • 自力で移動することができない
  • 自力で摂食できない
  • 失禁する
  • 眼球は動くことがあっても認識できていない
  • 簡単な命令に応じることがあっても、意思の疎通は不可能
  • 声を出すことがあっても、意味のある発語は不可能

遷延性意識障害の治療方法

いったん遷延性意識障害になってしまったら、なかなか有効な治療方法はありません。たとえば、手足を触ったり話しかけたり、好きだったものの香りを嗅がせたりして、五感を刺激することにより、脳の活性化を図る方法などがあります。また、脊髄に電気刺激を与える積極的な治療方法などもあります。これらの治療により、若い人のケースや早期の段階であれば、ある程度回復することもあります。

症状が落ち着いてしまったら、肺炎を起こさないようにしたり、床ずれを防いだりするなどの「現状維持(=悪化を防ぐ)」ための治療が主となってきます。

遷延性意識障害の後遺障害の等級

遷延性意識障害となると、被害者は自分で日常生活に必要なことを何一つできなくなりますから、非常に重度の後遺障害です。認定されるのは、以下の後遺障害となります。

  • 1級1号:神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの

この場合、後遺障害慰謝料は2800万円となり、労働能力喪失率は100%ですから、後遺障害逸失利益の金額も、相当高額になります。

遷延性意識障害になったときの問題と対処方法

遷延性意識障害になった場合には、いろいろと困難な問題が発生することが多いので、以下で、1つ1つ確認していきましょう。

逸失利益の請求において、生活費控除を主張される

遷延性意識障害になると、被害者は完全に仕事をすることができなくなりますから、「後遺障害逸失利益」を請求することができます。後遺障害逸失利益とは、事故の後遺障害によって、働けなくなったため、得られなくなってしまった将来の収入のことです。遷延性意識障害の場合、労働能力喪失率が100%ですから、完全に働けなくなったことを前提に、得べかりし利益の全額を請求することができます。

生活費控除とは

しかし、加害者の保険会社は、「遷延性意識障害の患者は、普通の人ほど生活費がかからないから、生活費の控除をすべき」として、減額を主張してくることがあります。遷延性意識障害になると、寝たきりになるので、普通の人のように衣食住にお金がかからないはずであり、その分を逸失利益から差し引くべきだというのです。

このような生活費控除の主張は、通常被害者が死亡したケースにおいて、適用されるものです。被害者が死亡すると、当然生活費が0になりますから、裁判所においても、生活費控除が認められています。

遷延性意識障害では、生活費控除を認める必要がない

しかし、遷延性意識障害のケースでは、被害者は生きているのですし、生きていたら衣食住を始めとして、何かと費用がかかるものです。多くの裁判例でも、生活費控除を認めていません。そこで、示談交渉の際、加害者の保険会社から「生活費控除」を主張されても、受け入れるべきではありません。

余命が短いと主張されて、介護費用を減額される

遷延性意識障害になると、ほとんど全面的な介護が必要になりますから、加害者に対し、一生分の介護費用を請求することができます。この介護費用のことを「将来介護費用」と言います。このとき、加害者の保険会社は「遷延性意識障害の患者は、平均余命が通常人より短い」と主張して、将来介護費用の減額を主張してくることがよくあります。

しかし、遷延性意識障害だからと言って、その他の人より早く亡くなるなどというのは、乱暴すぎる理屈です。裁判例を見ても、遷延性意識障害の患者の余命を制限する考え方は少数です。そこで、将来介護費用を計算するときに、加害者の保険会社が、余命を制限してきても、応じるべきではありません。

入院先が見つからない

遷延性意識障害となったとき、自宅で介護をすることが困難なので、入院先の施設を探すことがあります。このとき、なかなか入院先が見つからず、家族が困ってしまうことが多いです。病院では、入院後3ヶ月が経過すると、保険の点数が下がって収益が小さくなってしまいます。また、状態の安定した遷延性意識障害の患者がいると、他の急性の患者を受け入れることなどができなくなってしまうため、入院後3ヶ月くらいが経過すると、退院を促してくるのです。

家族としては、遷延性意識障害の患者を積極的に受け入れてくれる施設を探す必要があります。まずは、今かかっている病院の医師やケースワーカーに相談をしたり、役所で相談をしてみたりしましょう。また、遷延性意識障害の患者家族の会などに入ると、他の家族から情報をもらえることなどもあります。

自宅介護か施設介護か

遷延性意識障害となった場合、自宅で介護をするのか施設で介護をするのかも、問題となります。自宅で介護をするとなると、家族にかかる負担も大きくなります。また、家族がしっかりと患者をみられる状態でないと、自宅介護を認めてもらうことができません。

ただ、自宅で介護をする場合には、自宅改装費用なども認められるので、施設介護の場合と比べて賠償金(介護費用)の金額がかなり高額になります。相場としては、自宅介護の場合に1億円、施設介護の場合に5000万円くらいとなるので、自宅介護の場合の方が、かなり高くなることがわかります。

そこで、自宅介護を前提とするのか、施設介護を前提とするのかについて、しっかりと検討しなければなりません。ケースに応じて適不適があるので、弁護士とよく相談されることをお勧めします。

成年後見人の選任

遷延性意識障害となった場合、本人は意識がありませんから、自分で示談交渉を進めることは不可能です。そこで、「成年後見人」を選任する必要があります。成年後見人とは、判断能力の低下した人の代わりに、財産管理や身上看護を行う人のことです。

成年後見人を選任するには、家庭裁判所に申立をして、裁判所に後見開始の決定をしてもらわなければなりません。親族が成年後見人になることも可能ですが、有利に示談交渉を進めていくためには、弁護士を成年後見人候補者とするのが良いでしょう。

交通事故で家族が遷延性意識障害(植物状態)になったら弁護士に相談を

交通事故で、被害者が遷延性意識障害となってしまったら、一生涯にわたる介護が必要になりますし、介護をするご家族にも多大な負担が発生します。なるべく負担を減らし、ご本人もご家族も、できるだけ楽に生きていくには、加害者との示談交渉で、しっかりと損害賠償を受けておくことが重要です。

弁護士法人YMPでは、交通事故重大事案の解決に非常に力を入れており、これまで多くの被害者の方やご家族のサポートをしてきました。お困りの場合には、是非とも一度、ご相談ください。