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交通事故の自賠責保険と任意保険の違いとは?

  • 交通事故

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自動車を運転する人は、「自動車保険」に加入しているものです。このとき「自賠責保険」と「任意保険」の2種類の保険に入っていることが多いです。この2つの保険は、何がどのように異なるのか、ご存知でしょうか?

今回は、交通事故の際に使える「自賠責保険」と「任意保険」の違いについて、弁護士法人YMPの弁護士が解説します。

自賠責保険とは

自賠責保険は、強制加入の自動車保険

自賠責保険とは、車の所有者や運転者が必ず加入しなければならない、強制加入の自動車保険です。自賠責保険に入っていない車を運転することは、違法です(自賠法5条)。自賠責保険に加入していない自動車や単車を運転すると、それだけで犯罪となります。罰則は、1年以下の懲役または50万円以下の罰金です(自賠法86条の3)。自賠責保険に入っていない車を運転していると、免許の点数も6点加算され、即時に免許停止となります。

自賠責保険の目的

自賠責保険の目的は、「被害者の救済」です。交通事故が発生すると、被害者にはいろいろな損害が発生します。ときには、重大な後遺障害が残ることもありますし、死亡するケースもあります。このようなとき、加害者に支払い能力がなくて、賠償金の支払いができないとなると、被害者は非常に大きな不利益を受けます。

そのようなことがないよう、すべてのドライバーに自賠責保険への加入を強制して、最低限、自賠責保険からの支払いは受けられるようにしよう、というのが自賠責保険の目的です。被害者側から見ると、交通事故に遭ったとき「最低限、自賠責保険からの支払いは受けられる」という期待が持てるようになります。

任意保険とは

任意保険とは、車の所有者やドライバーが、自主的に加入する自動車保険です。交通事故を起こしたら、多額の賠償金を支払わなければならないケースもありますが、自賠責保険だけでは支払い額が不十分になることが多いです。そのようなとき、足りない部分は加害者が自己負担で支払わなければなりません。しかし、数百万円、数千万円の損害賠償が発生したときに、自己負担で支払いができる人は少ないでしょう。そこで、多くの人は、自分が交通事故を起こしたときに備えて任意保険に加入しています。

任意保険への加入は義務ではないので、加入していなくても罰則は適用されません。

自賠責保険と任意保険の主な違い

以下では、自賠責保険と任意保険の主な違いを確認していきましょう。

強制加入か任意加入か

まず、強制加入か任意加入かが異なります。自賠責保険は強制加入で、加入しないと罰則も適用されますが、任意保険に入るか入らないかは自由に決めることができます。

限度額

自賠責保険と任意保険とでは、支払いの限度額が全く異なります。

自賠責保険の場合、限度額が非常に小さいです。たとえば、後遺障害のない傷害事案の場合、限度額は120万円です。治療費も通院交通費も休業損害も慰謝料も逸失利益も全部含めて120万円が限度ということです。そこで、すぐに限度額いっぱいになってしまい、被害者は十分な保障を受けることができません。

これに対し、任意保険では、加入者が自由に限度額を設定することができます。対人賠償保険を無制限にしておけば、被害者に発生した賠償金を全額保険から支払うことも可能です。これを被害者から見てみると、加害者が任意保険に加入している方が、手厚い補償を受けられることになります。

物損事故への適用の有無

自賠責保険は、物損事故への適用がありません。そこで、物損事故の被害を受けたとき、加害者が任意保険に加入していなければ、被害者は加害者に直接支払いを求めるしかありません。

これに対し、任意保険には「対物賠償責任保険」という種類の保険があります。これに加入していたら、保険会社が被害者に発生した物損について、支払いをします。物損事故でも多額の賠償金が発生することはあるので、車を運転するなら、任意保険の対物賠償責任保険に加入しておくべきです。

支払い基準

自賠責保険と任意保険とでは、保険金の支払い基準も異なります。

自賠責保険の「自賠責基準」

自賠責保険には「自賠責基準」と呼ばれる定まった基準があります。自賠責保険自体が、被害者の最低限の救済を目的とする保険ですから、自賠責基準による支払い基準は、かなり低くなります。自賠責基準は、国土交通法が定めている基準ですから、自賠責保険に対してそれ以上の支払いを求めることはできません。

任意保険会社の「任意保険基準」

これに対し、任意保険の場合、「任意保険基準」と呼ばれる基準が適用されます。任意保険基準とは、任意保険会社が独自に定めている賠償金支払い基準です。任意保険基準の金額は、自賠責基準より多少高い程度となっています。この基準は法的な基準である弁護士基準より、非常に低くなります。

弁護士に依頼して、適正な金額の賠償金を請求しましょう

ただ、任意保険会社は、そもそも法的な基準に従った賠償金支払い義務を負っていますから、実際には任意保険基準は不当な基準と言えます。弁護士に示談交渉を依頼したり、任意保険会社に対して裁判を起こしたりしたら、適正な弁護士基準で支払い請求をすることもできるので、交通事故に遭ったら弁護士に対応を依頼して、適正な金額の賠償金支払いを受けましょう。

加入者のための保険がある

自賠責保険と任意保険では、「保険加入者のための保険があるか」という点も、全く違います。

自賠責保険では、加入者への補償はない

自賠責保険は、被害者を救済するための最低限の保険です。そこで、自賠責保険では、加入している本人に発生した損害についての補償を受けることはできません。たとえば、保険加入者がケガをしたり死亡したりした場合には、自賠責保険から保険金を支払ってもらうことができません。

任意保険の人身傷害補償保険、搭乗者傷害保険

これに対し、任意保険には、加入者の補償が受けられる保険があります。たとえば、人身傷害補償保険や搭乗者傷害保険というものがあります。これらは、保険の加入者や、保険の契約自動車が交通事故に遭ったときに、乗車していた人のケガや死亡結果に対して補償を受けられる保険です。交通事故に遭ったとき、これらの保険に加入していたら、万一相手から支払いを受けられなくても、最低限自分の保険から補償を受けることができます。

任意保険の自損事故保険、無保険車傷害保険

また、自損事故保険や無保険車傷害保険というものもあります。自損事故保険とは、ガードレールにぶつかったケースなど、自分が一方的に起こした自損事故の場合に、自分の保険会社から保証を受けられる保険です。自損事故保険は、任意保険に加入すると、自動的に付帯されることが多いです。人身傷害補償保険と重複する部分もありますが、人身傷害補償保険の方が、補償範囲が広くなっています。

このように、任意保険には加入者に対する補償もあり、万一の時には非常に役立つものですから、自動車保険に加入するときには、なるべく手厚くしておくことをお勧めします。

弁護士費用特約がある

自賠責保険は法律にもとづく保険ですから、補償内容が一律で「特約」はありません。これに対し、任意保険には、さまざまな特約があります。中でも、弁護士費用特約を利用すると、交通事故の対応のために弁護士に相談したり依頼したりする費用を、任意保険会社から出してもらうことができるので、無料または非常に低い金額で、弁護士に対応を依頼することができます。

被害者が自分で示談交渉を進めるのは大きな負担になることが多いので、弁護士費用特約を使って弁護士に依頼することには、大きなメリットがあります。

自動車保険のことで迷ったら、お気軽にご相談下さい

自動車保険には、自賠責保険と任意保険があり、任意保険にもいろいろな種類があります。どの保険に加入したら良いのかわからない場合や迷った場合には、当事務所にご相談いただけましたら、いろいろとアドバイスをいたします。

弁護士費用特約を利用されたい方も、お気軽に弁護士法人YMPまでご相談下さい。